関節リウマチ(RA)の治療では、メトトレキサート(MTX)が基本となる薬剤です。MTXは葉酸代謝を抑制する作用があり、炎症を鎮める効果を発揮しますが、その影響で赤血球の大きさを示す指標であるMCV(平均赤血球容積)が上昇することがあります。
このMCVの上昇は、葉酸代謝抑制により巨赤芽球性変化が生じるためで、いわゆる「大球性貧血」に近い状態を反映しています。ただし、通常は葉酸補充薬(フォリアミンなど)を併用することで、過度なMCV上昇や貧血の発生は防ぐことができます。MTX内服中にMCVが緩やかに上昇している場合は、薬剤がしっかり体内で作用している一つの目安とされることもありますが、急激な上昇や貧血を伴う場合には注意が必要です。
当院では、定期的な血液検査により赤血球指数や肝機能を確認し、安全にMTX治療を継続できるよう管理しています。
日本リウマチ学会専門医 服部陽介