強直性脊椎炎は、脊椎(背骨)や仙腸関節(骨盤の関節)に炎症が生じる慢性のリウマチ性疾患です。主に10〜30代の男性に多く発症し、腰痛や背中のこわばりから始まることが多いのが特徴です。特に「朝起きたときに腰がこわばって動きにくい」「動くと少し楽になる」という症状があれば、強直性脊椎炎を疑う必要があります。
進行すると脊椎が少しずつ硬くなり、日常生活に影響を及ぼすことがあります。近年では、HLA-B27という遺伝的素因やMRIによる早期診断が進み、早い段階での治療が可能となっています。
治療は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や、生物学的製剤(抗TNFα抗体など)を用いた薬物療法が中心です。適切な薬物治療とリハビリテーションを組み合わせることで、炎症のコントロールと運動機能の維持が可能になります。
「ただの腰痛だと思っていたけど、なかなかよくならない」といった方は、自己判断せず早めの受診をおすすめします。早期発見・早期治療が、進行を抑える鍵となります。
日本リウマチ学会専門医 服部陽介